毎年この時期になると、前年度の入試結果や傾向についてのまとまった情報が出てくると同時に、今年度の動きが少しずつ見えてきます。私自身も、毎年5月~6月にかけ、入試情報や学校情報を整理すると同時に、次年度に向けたイメージを膨らませ始めます。
人は自分の得意分野や専門分野については、時にその経験や知識が、新しい情報や変化に対して壁を作ってしまうことがあります。
「毎年変化している入試情報・学校情報や傾向について、先入観を持ちすぎず向かい合っていこう」と、毎年この時期はリセットの気持ちを意識します。
数年おきに大きなトレンド変化を感じることがあります。ここ20年だと…
■2000年代頃
都立自校作成校の増加と都立中高一貫校の増加&設立による都立高入試の変化
私立高校の共学化や移転ブームとそれによる難易度変化
■2010年頃
リーマンショックによる都立高人気の高まりと、都立中高一貫校の募集停止による都立高の急激な難化
私立高の入試制度変化や特に進学校のコース再編および難易度変化
■2020年頃
私立無償化による私立高校の立ち位置の変化。大学付属校の高難易度化。
都立高校の倍率の急激な変化。コロナショックによる様々な変化。
他にも「教科書改訂にともなう変化」「大学受験や中学受験の状況に伴う変化」などなど挙げていけば沢山の変化がありました。
そして、また大きな変化が訪れていると感じています。
以前から、このブログでも「二極化が進む」「都心部のトレンドが多摩地域にもやってきた」などの話を書いてきました。
そして今年、「三極化が進む」「多様化・中身の大きな変化」を強く感じています。
私立高人気はここ数年の傾向でしたが、今年、大きく実態を伴ってその傾向が強くなりました。都全体で言えば「3人に1人が私立第一志望」という数字が出ています。
また、「クラスの1~2名は通信制第一志望」という数字も出ています。従来のイメージでは通信制と言うとネガティブに感じますが、ポジティブに通信制を選んでいる生徒が増えているという現実。
私立高校の再編も進んでいます。日本学園が明治大学付属校になることは大きなトピックです。農大一高などの高校募集停止もありました。他にも、中学受験の需要の高まりから高校募集枠が減っている学校があります。また、再編に伴う校名変更やコースの統廃合も進み、従来のいわゆる「特進コース」ではなく、もっと多様化したコース作りも目立ちます。
もちろん、従来のように進学により力を入れる学校も増えています。入学基準が高まったり、下位コースが無くなるような学校もあります。
高専のような特化型の学校も大きな需要があります。新設のチャレンジスクール「立川緑」高校は、初年度とても高い倍率を記録しました。先日、実際に私も観に行きましたがとてもきれいでした。
そのような環境の中、都立高校は劣勢にあると言えるかもしれません。進学重点校、いわゆるトップ校の倍率は大きく伸びましたが、それ以外は一部の人気校を除き低調な倍率でした。
…とここまで書きましたが、そういった話を来月の保護者説明会で実施する予定です。